フランスで最初のインディーズ・レーベルだったサラヴァがこれまでにリリースした数多くのアルバムやシングルのなかから、選りすぐりのレアな音源をふんだんに使って素敵なコンピレーション・アルバムができ上がった。しかも、2枚も。
聴き逃していた音楽や、どこかに失くしてしまったレコードに入っていた曲などに再会できる。たとえようもない喜びだ。
オープンマインドな総帥ピエール・バルーの、人間と音楽への深い愛情と信頼に導かれて、才能溢れるアーティスト、ミュージシャンたちが、サラヴァにこれほどまで珠玉のような録音を残していた。
1960年代からこんなに豊かな音楽活動がこのレーベルで繰り広げられていたという事実。コマーシャリズムとは一線を画しながら、サラヴァが独自の道を歩んで来たことが改めて分る。
アーティストの顔ぶれや音楽のテイスト、傾向や表現のスタイルは多岐にわたっている。
それぞれの音楽に驚きがあり、ユーモアがある。そしてまた、どの音にも人間の血が通っていて温かい。どの音楽も、多様性とそれぞれの独自性を失うことがない。そう、サラヴァはコンヴィヴィアルなレーベルだ。
もともと音楽には、見知らぬ人同士をも結びつける魔法のような力がある。これらのユニークなアーティストの作品が集まることにより、全体として醸し出される“サラヴァらしさ”はさらに魅力的な魔法だ。
ひとりひとりがサラヴァの音であり、そうした音が寄り集まってひとつの大きな“サラヴァらしさ”を形作っていることを暗示したいので、あえて個別の楽曲やアーティストのことには触れない。落ち着いた気分で1枚ずつ、最後まで聴いてもらえれば自ずと感じられることと思う。