有名なパリの地下鉄。いまその構内ではフランスの若きミュージシャンたちが、ライヴで生の音を響かせています。しかし、乗車したくても張りめぐらされたパリのメトロポリタンにはナビゲーターが必要なのも事実。このコーナーではシャンソンの水先案内人を大野修平がつとめます。
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シャルル・アズナヴール
《グレイテスト・ヒッツ》

 東芝EMI TOCP-65925

〈曲目〉

  1. 五月のパリが好き
  2. 雨が降る
  3. 青春という宝
  4. 愛のあとで
  5. コメディアン
  6. 恋は一日のように
  7. それがわかれば
  8. ラ・マンマ
  9. 帰り来ぬ青春
  10. 悲しみのヴェニス
  11. ラ・ボエーム
  12. 二人の時
  13. 世界の果てに
  14. 愛のために死す(炎の恋)
  15. 人々の言うように
  16. イザベル
  17. 想い出をみつめて
  18. 声のない恋
  19. 移民たち(みんな一緒に)
  20. いつの日かまた会いましょう
  21. 忘れじのおもかげ(シー)
    全21曲
   

 (以下は「監修者のひとりごと」みたいになっていることをお断りしておきます)
 好きな曲を好きなように並べてもいいという、なんとも贅沢な仕事が監修というものだけれど、悩みも多い。どの曲も好きだし、個人的な思い出もあるから、どれもこれもがいとおしいのだ。僕の人生の一部となってしまっているフレーズやメロディーの数々。 
 このアルバムの選曲を任されたので、当サイトで読者のみなさんにリクエスト曲を募った。個人的な嗜好に走っては、お金を払って買ってくださる方々に申し訳ないから。その結果を反映させながら、全体の構成を決めることにしたのだった。

 曲目は年代順に配列してある。アズナヴールの声は年を追って魅力を増していっているのだから、妥当なやり方と思われる。また、彼自身が書く歌詞の内容もまた、当然のことながら、年齢を重ねることによって深まっていることを考え合わせても納得していただけることと思う。

 アズナヴールほどの作品数を誇る歌手となると、どの曲を外すかを選ぶのがひと苦労だ。せめて2枚組ならいいのに、と何度も思った。
 なるべく、過去の人といった扱いにはしたくない。彼は現役だからだ。それに、ここには収録していないとはいえ、「さよならはしない」という1987年のシャンソンのなかで「私は引退しないよ」と歌っているのだから。
 「アズナヴール2000」からも採りたかったのだけれど、諦めた。そのかわり、97年の新作「いつの日かまた会いましょう」を入れた。メロディーの覚えやすい佳品だと思っている。聴いた方が気に入ってくださるといいな。これを入れたのにはもうひとつ理由がある。今後ももっと曲数を多くしたアズナヴールのアルバムを(できれば新譜も)リリースできたらいいなという、僕のささやかな願いをこめたつもりなのだ。
 そう、アズナヴールのシャンソンの魅力は、この1枚にはとうてい収まりきるものでないことは言うまでもない。だから、彼を愛するみなさん「またいつの日か…」を願いつつ。