昨日は「建国記念の日」。国民の祝日だから日の丸を玄関先に掲げている家があるかどうか見たいと思い立ち、散歩に出た。ぶらぶらと2時間ほど歩いてみたけれど、一軒も見当たらなかった。区役所の出張所の前も通った。行政機関ならひょっとして、と期待したのだが日の丸の影も形もない。
まぁ、こういったものなんだろう、「建国記念の日」は。日付こそ戦前の「紀元節」とまったく同じ2月11日だけれども、みんな揃って式典に参加しなければならないといった強制はない。祝いたい人は祝えばいい、という緩やかさは大切だ。言うまでもなく、いまさら皇国史観の出番でもあるまい。皇居の方角を拝んで「天皇陛下万歳」と口を揃えて唱えさせられるなんて御免蒙りたい。
歴史と神話をごちゃまぜにしてはならない。そのことをしっかりと見据えた上で、なおかつ神話を神話として知っておくことは無駄ではないだろう。ある意味で日本文化のルーツを知ることでもあるのだから。
ギリシア神話と同様、日本神話も興味深いストーリーに満ちていて、読んでみればなかなか面白いものだ。
ユダヤ教、キリスト教、イスラム教と、世界を騒がせている国や地域の宗教は一神教を奉じている。唯一絶対の神がものみなを支配している、という前提に立つ。いずれも砂漠という厳しい環境に生きる民族が生んだ宗教だ。
穏やかな自然に恵まれた日本には、昔から八百万の神々がいるとされた。山にも(“山の神”はいまでも各家庭にいるなぁ…)海にも、川やかまど、一木一草にいたるまで神が宿るとされた。言ってみれば、ギリシア・ローマと相通ずる汎神論的な考え方があった。
どちらがいいとか正しいということは問うても意味がない。民族の成り立ちや歴史、文化とも深く関わっている事柄を軽々に論じることはできない。また、信じる信じないは個人の心の問題でもあるのだから。
人に誕生日があるように、国にも誕生日がなければおかしい。そんな考え方が「建国記念の日」制定を促したようだ。日本という国家が現に存在し、機能しているのだから、その始まりに思いを致すことは自然なことでもあるだろう。
ではそれをいつとするか。これが難しい問題だった。国会でも論議された末、「建国記念の日となる日を定める政令(昭和41年政令第376号)」が同年12月9日付で公布された。昭和41年(1966年)といえば僕は14歳で、休みが一日増えたのを単純に喜ぶ気分だったかなぁ。
新たに制定された2月11日がかつて「紀元節」と呼ばれた日だったことは、親から聞いて知っていた。1948年(昭和23年)に廃止されたものが再び姿を現わすとして、当時の社会党が猛反対した。
日本神話にはその頃までに子供向けの本を通して親しんでいた。その基となっている『古事記』や『日本書紀』も、原文は難しかったけれど註を頼りに読みかじったりした。
『古事記』の方がより物語性が強くて興味を惹かれた。『日本書紀』は中国の歴史書を真似た編年体で書かれており、客観性を装っている分だけ味気ないものを感じた。
「紀元節」は第一代神武天皇が即位した日とされていた。『日本書紀』に出ている日付「辛酉年(カノトノトリノトシ)の春正月(ハルムツキ)の庚辰(カノエタツ)の朔(ツイタチノヒ)」を、明治6年(1873年)に西暦に換算したところ「紀元前660年2月11日」となった、という。
明治政府が旧暦を新暦に改めたことさえ、あまりに唐突だったので当時の国民からはかなり反発があった、とものの本にある。そこに「紀元節」の日付を無理矢理割り出して制定したんだから、強引という印象が否めないなぁ。
冷静に考えてみれば、BC660年といえば縄文時代。神武天皇の実在が疑われても仕方ない。それを正しい歴史として国民に押しつけ、大東亜戦争まで突き進むこととなった。
大日本帝国陸軍はサイズの合わない軍靴を兵士たちに支給して、「足に靴を合わせるのではなく、靴に足を合わせろ」と命じたと伝え聞いている。歴史まで神話に合わせようと無理を押し通した結果が、原爆を投下されての敗戦にまで至ってしまった。
理屈に合わないことは、やはりするべきではないだろう。
繰り返すけれど、神話を単なる物語として味わい、楽しむことを否定するには及ばない。神話を知ることはむしろ、先人たちのものの感じ方や考え方にアプローチする手がかりとなるだろう。要は小説や映画のように、フィクションをフィクションとして楽しめばいい。そう考える。
僕は右翼でもなければ、軍国主義や復古主義に与する者でもない。ただ単純に、自分が生まれ育ったこの国の風土と文化を愛する者のひとりとして、神話に描かれた世界もまた、祖先たちが僕たちに残した精神の遺産だと思っている。
昨日も「建国記念の日」を祝う側、反対する側それぞれに式典を行なったことが報道された。民主主義の国なんだから、賛否両論、甲論乙駁が盛んであるのは望ましいことだ。
ここでフランスの作家・哲学者ヴォルテール(1694〜1778)の言葉を思い出しておくのも無駄ではないだろう。
私はあなたが言っていることには賛成しない。しかし、あなたが最後までそれを言うことができるように戦う。
Je ne suis pas d'accord avec ce que vous dites, mais je me battrai jusqu'au bout pour que vous puissiez le dire !
自分とは正反対の意見を持つ相手がその意見を言い続けることができる、その相手の自由のために戦う用意がある、という意志の表明。自由と民主主義の基本はここにあると見る。
「建国記念の日」を目前に、イラクへ向けて自衛隊は派遣された。その是非について論議を尽くしたと言い切れるだろうか。また、派遣の事実に事後承諾を与えるために開かれた国会の低調ぶりも嘆かわしい。
「日本はこれでいいんだろうか」と考えてみるのも、「建国記念の日」の過ごし方としては悪くないんじゃないだろうか。
♪Petites Annoces♪
「ヴィヴ・ラ・ルプリーズ 2004」のお知らせ "VIVE LA REPRISE 2004"
・「ヴィヴ・ラ・ルプリーズ」はパリで毎年行なわれているシャンソン・フランセーズのコンクールです。10回目を数える今年も 、サントル・ド・ラ・シャンソン Centre de la chanson とサントル・ワロニー=ブリュッセル Centre Wallonie-Bruxelles が共催します。
[日時]2004年4月29日(木)・30日(金)
[会場]サントル・ワロニー=ブリュッセル Centre Wallonie-Bruxelles
46 rue Quincampoix 75004 Paris, France
[参加条件]18歳以上であればアマチュア、プロ、フランス人または外国人でも構いません。ただし、フランス語で歌うこと。次の課題曲をCDに録音してサントル・ド・ラ・シャンソン事務局に提出してください。
CDには3曲を収録してください。
・これまでにレコーディングされているシャンソンのレパートリー全体から1曲。
・未発表曲(レコーディングされていないもの)を1曲。
・「街」をテーマにしたシャンソンを1曲。
[CD提出期限]2004年4月2日(金)
4月29日(木)14h00から公開オーディション。
4月30日(金)20h30からオーディションに残った7名による決戦。第2部ではクロード・スメルのショーがあります。
[各賞]サントル・ド・ラ・シャンソングランプリ、ADAMI賞、SACEM賞、UNAC賞。
シャルルロワ・シャンソンビエンナーレ・ド・ブリュッセルからのパートナー賞。
観客賞が該当者に授与されます。
申込み用紙は1月末に発行します。詳しい情報およびCD送付先は下記サントル・ド・ラ・シャンソンまで。
Centre de la chanson http://www.centredelachanson.com
24 rue Geoffroy l'Asnier - 75004 PARIS
Tel. (+33)01 42 72 28 99 - Fax(+33) 01 42 72 92 19
contact@centredelachanson.com
---------------------------------------------
VIVE LA REPRISE 2004
Centre de la chanson et Centre Wallonie-Bruxelles presentent
VIVE LA REPRISE
10e edition du tremplin des interpretes
Les 29 et 30 avril 2004
au Centre Wallonie-Bruxelles
46 rue Quincampoix - Paris 4e.
Condition de participation
Le tremplin est ouvert aux amateurs et professionnels, de 18 ans et plus, francais ou etrangers chantant en langue francaise.
3 chansons sur CD
1 chanson issue de l'ensemble du repertoire enregistre
1 chanson inedite de creation
1 chanson sur le theme : La ville
Date limite de reception des dossiers : vendredi 2 avril 2004.
Auditions publiques le jeudi 29 avril a partir de 14h.
Finale (7 artistes) vendredi 30 avril a 20h30
suivie du spectacle de Claude Semal
Le jury decernera, le grand prix du Centre de la chanson,
le prix de l'ADAMI, le prix de la SACEM, le prix de l'UNAC
le prix des partenaires : Charleroi Chansons et Biennale de la chanson de Bruxelles
Prix du public
Dossier d'inscription sur demande fin janvier
Centre de la chanson http://www.centredelachanson.com
24 rue Geoffroy l'Asnier - 75004 PARIS
Tel.(+33) 01 42 72 28 99 - Fax(+33) 01 42 72 92 19
contact@centredelachanson.com