今日は「7月14日」。フランスでは国民の祝日である「革命記念日」だ。シャンゼリゼ大通りでは、例年のように盛大な軍事パレードが催されることだろう。
1995年から6年間欠かさずに通ったラ・ロシェルでのフェスティヴァル、「フランコフォリー」"Les Francofolies" 。今年もいまちょうど開催中。シャンソン・フランセーズやポップス、ラップなど、いまのフランスで聴かれている音楽がラ・ロシェルの街中に溢れているはずだ。
年を追うごとにシャンソン・フランセーズ系アーティストの出演が少なくなっていったので、出かけて行く気が薄れてしまった。
「フランコフォリー」のサイト(http://www.francofolies.fr/)を見ると、パトリシア・カース Patricia Kaas やベナバール Benabar、コルネイユ Corneille といったアーティストが名を連ねている。発足20周年を迎える「フランコフォリー」。伝え聞くところによると、このフェスティヴァルを立ち上げ、これまで牽引役を務めてきたジャン=ルイ・フルキエ Jean-Louis Foulquier さんが今年で引退するという。去年はフリーの興行関係労働者たちによるストライキがあったため、「フランコフォリー」は中止のやむなきに至った。そうしたこともフルキエさんにはこたえてしまったのかな。長い間お疲れさまです。
フランスから遥か遠い日本でもこの期間中、シャンソンと無縁ではない。「パリ祭」は順調に各地で公演が続いている。そして、12日にはマリー=ポール・ベル Marie-Paule Belle が東京・中野ゼロホールで歌った。そのお手伝いをしながら思った。フランスでは高い評価を得ているアーティストなのに、こちらでは1枚のアルバムさえ発売されていないのは残念だなぁ…。せっかくの機会だから、ほんの少し彼女についておさらいをしてみよう。
マリー=ポール・ベルは歌手・作曲家。幼い頃からピアノを学ぶ。作家のフランソワーズ・マレ=ジョリス Francoies Mallet-Joris と、元ジャーナリスト、ミッシェル・グリゾリア Michel Grisolia がずっと作詞を担当している。
バルバラやコラ・ヴォケールなどが出演した、パリ左岸の伝説的キャバレ〈レクリューズ〉"L'Ecluse" に1970年から出演するようになる。初め彼女は、そこでのスターであるバルバラに遠慮してピアノには触れず、ギターを弾きながら歌った。同時にやはり左岸にあったレシェル・ド・ジャコブ L'Echelle de Jaob も掛け持ちで歌うようになる。マリー=ポールもまた、観客との直接のコンタクトを肌で知るという、踏むべき順序を経て成長していったのだった。
12日に歌ったのは、「あなた」"Toi" 、「ナントに雨が降る」、"Nantes" 「いつ帰ってくるの」 、"Dis, quand reviendras-tu" など12曲。いずれも、2001年にリリースされたアルバム『マリー=ポール・ベル バルバラを歌う』《Marie-Paule Belle chante Barbara》(Universal, Philips 014 790-2)に収録されているもの。
オリジナル作品も3曲歌った。
「友だちになる時」"Quand nous serons amis" は1976年の作品。恋人同士から友だちへと変わってゆく「あなた」と「私」。一緒に旅に行っても、もう言い争いもなくジェラシーもない、穏やかな時が流れる。たまには、それぞれパートナーを伴って立ち寄ったレストランで鉢合わせすることもある。そんな時、二人はそっと微笑みを交わす。大人の関係がしっとりと歌われる。
「ヴォルフガングと私」"Wolfgang et moi" は面白おかしい。ヴォルフガングはあの、ウォルフガング・モーツァルトのこと。彼の姉であるレオポルディーヌが驚きの事実を語る、というスタイル。実はモーツァルトの作品とされているのは私が書いたんだ、と愚痴る。二人は「犬猿の仲」だったという発想が楽しい。
そして、熱いアンコールに応えて歌ったのは「パリジェンヌ」"La Parisienne" 。いわゆる“パリジェンヌ”ではない「私」は、首都に出て来た時には戸惑った。自分には都会人に見受けられるエキセントリックな傾向が何ひとつもなかったから。でも、やがて“パリジェンヌ”の仲間入りしていき、エコロジーの初歩を学ぶようにもなる…。マリー=ポール流の文明批評と言えるだろう。
表現力の豊かなマリー=ポールのステージは観て楽しい。聴かせどころもたっぷりある。彼女がもっと多くの日本の観客の前で歌える日が来るといいな、と思う。
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[公演問合わせ先]
◎「パリ祭」
パリ祭実行委員会
Tel:03-3533-1300
URL:http://www.paris-sai.com
◎ミュージカル『エディット・ピアフ』
株式会社 三都企画
東京都港区芝3-40-6港ビル本館6F
Tel:03-5443-7576
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詳しい情報はhttp://www.bcommebejart.comをご参照ください。
バルバラ、ジャック・ブレルのシャンソンが多用され、モーリス・ベジャールのひとつのバレエ作品『リュミエール』が創り上げられるまでを追ったドキュメンタリー。プログラムに僕が映画で取り上げられたシャンソンについての解説を書いています。
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