思いついたことを何の脈絡もなしに口に出してばかりいたら、他人から迷惑がられてしまうかもしれない。
しかし、ちゃんと筋道を立てて考えたことを表明するのは理に適ったことだ。最近、そんな経験をした。
いま僕は、銀座産経学園でクラスを二つ担当している。
「シャンソンのベル・エポック」と「フランス語で歌いましょう」で、どちらも受講生が多く、教室はいっぱい。新しい受講希望者がいても、同学園の事務所としては空きが出るまでお待ちいただくように説得している状態。
昨年暮の忘年会に、久しぶりに元受講生のKさんが参加された。聞けば、ご母堂の介護に専念されていたとのこと。そのご母堂が亡くなられたので、銀座産経学園の教室に再入学しようとしたところ、ウェイティングを言い渡された、と少し寂しげにおっしゃっていた。
僕としては如何ともし難いことなので、こんなジョークでその場をしのぐしかなかった。
「一度入るとなかなか出られないのがタコ部屋ですけど、僕のクラスは一度出てしまうと入りなおすのが難しいみたいですね」。
Kさん、苦笑いを浮かべていらした。
きっかけは先週、1通のメールをいただいたことだった。
Y.H.さんという横浜在住の女性からで、入学を希望されたのだけれど、やはり待機を告げられた。そこで、直接にメールでお問い合わせをいただいたというわけ。
それによると、Y.H.さんはかつてフランス語を勉強されていたという。僕の講座は必ずしもフランス語習得者だけに向けてのものではないけれど、学習されていらっしゃる方の参加も大歓迎だ。
メールには次の1行もあった。
「産経学園以外にカルチャースクール等の受講生を対象とした同種講座は、開講なさっていらっしゃいませんでしょうか」。
いまのところ、産経学園の他には教室を持っていない。このメール、放っておけない気分になってきたので、返信することにした。
と同時に、新規の受講希望者が入りたくても入れない状態というのは、銀座産経学園のためにも良いことではないんじゃないだろうか、と思った。お客様を逃してしまうのだから、ビジネスチャンスを失っているのと同じことにもなる。
それならばと、現状を打開するためのアイディアを考えて企画書にまとめることにした。接客で忙しい事務所のスタッフの方に見て貰うので、シンプルでひと目で解ってもらえるスタイルを心がけたい。
そこで図解を取り入れた。念のため、ワンシートで企画趣意を書き出した文章も添付することも思いついた。
企画のポイントは何か。要するに、もうひとつ講座=教室を増やすこと、これに尽きる。それを「みんながHAPPY! 解決案」と表現してみた。
新規受講希望者は満足と安心を得る。銀座産経学園は受講者たちからの信頼を得る。講師である僕は仕事が増える。三者がそれぞれに得るものを得るのだ。
思い立ったが吉日、行動は早い方がいい。
ちょうど先週12日の土曜日に「シャンソンのベル・エポック」講座があった。授業の前に担当者のSさんに企画書を手渡した。
学園サイドとしても、いまの状況を何とかしたいと思っていたのではないだろうか。すぐに僕の意図を汲み取ってくれたように見受けられた。
その直感は的外れではなかった。
授業を終えて帰る際に、「いつから開講できるかについての詳細を後ほどメールします」とSさんの表情も明るかった。
いま、その知らせも届いている。
考えたことは言ってみるもんだ、という嬉しい気分に浸っているところ。
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